「ドン・キホーテ」 [団地小僧ー2]
あー、俺の記憶にある先生と言えば、
幼稚園の美脚先生、
そして小4の斎藤先生だ。
もしかして斎藤先生は唯一の「先生」だったと思う。
サッカーに目覚めたとはいえ、妹ができたとはいえ、
勉強嫌いのおいら。
相変わらず5段階通知表は、1212312・・・
少し3が混ざるようになったくらいである。
だが、小4での図工は・・・。
なんだか自由な工作時間。
俺はゼンマイをマッチ箱に詰め込んでいた。
つまりプラモデルの車みたいのを作ろうとしていた。
そこへ斎藤先生、登場。
「まぁ、面白いわね。
そうだ!ねぇ、ゼンマイで槍が動くようにしたら、どうかしら?
ドン・キホーテみたいでいいじゃない!」
「・・・?槍、ドン・キホーテ?」
お馬鹿な俺は何も分からず、とまどったが、返事だけは大きかった。
「はいっ!」
「ピンポーン!」
授業終了。
「どう?」
斎藤先生が見に来る。ほぼできていないドン・キホーテ!
「あらぁ、難しかった?まぁ、いいわ」
とりあえず授業も終わったし、俺は運動場に飛び出していった。
その工作の発表会、俺は3位入賞だった。
きちんと槍を持ったドン・キホーテが、
腕をくるくる回している。
(あらぁ、先生、作ってくれたのかぁ)。
それでも嬉しい俺。
なんと!それで自信というものを感じてしまったのだ。
ったく、ガキとはいい加減なものだ。
でも、その学期で斎藤先生がお嫁に行くと聞いた時は、
寂しかった。
・・・そして。その学期の図工はなんと、4、だった。
「団地小僧」サッカー [団地小僧ー2]
さて、そんなぼんやりな俺も
妹ができ、兄としての自覚ができたのか(笑)、
兄貴とではなく、妹と遊ぶようになった。
とにかく手のかからない妹で「うっくーん」とか言えば、
大笑いするのである。
ただ、色黒に加え、頭がアフロヘア―なのが、
笑えたが、いまいちではあった。
そんな平和な俺に、やっと転機が来た。
俺の小学校は大谷場東小学校、隣に大谷場東中学校がある。
そのつながっているグラウンドで、とりあえず走り回っていると。
「コロコロ・・・」とサッカーボールが!
「これは、サッカーボール?」
野球少年だった俺にはいまひとつ分からないサッカー。
「おーい!こっちに蹴ってよ!」
サッカーをしていた中学生が大声で叫ぶ。
その時、おいらのいたづら心がはじけた。
ボールを中学校の方に蹴らず、逆の方にドリブルしてったのだ。
「あれ?こらー」
追いかけてくる中学生。
笑いながら、俺がドリブルしているボールを奪おうとする。
と、その時、奇跡が起きた^@^v
中学生のアタックをかわし、その中学生を引き離したのである。
「おっ、やるじゃん!」
^@^w「おっ、やるじゃん!」「おっ、やるじゃん!」「おっ、やるじゃん!」・・・(エコー)
はじめて俺、他人に褒められたんじゃないか?
「おまえ中学になったらサッカーすれば?うまいぞ」
その中学生は救世主だったのだ。
万引きと土団子しか知らなかった、もはや小学生にして、
暴走族候補だったおいらが、自己に目覚めたのである。
(俺はサッカーがうまい)。ガキは思い込みが激しい。
結局、サッカーを始めたのは小5からなのだが、
それからの日々、ボールと見ればなんでも蹴って、
からかみや障子は穴ぼこだらけ。
よちよち歩きのボンバー妹も何かと手伝ってくれる。
まぁ、まだ勉強はした覚えなかったがな。
「団地小僧」かずこおばちゃん [団地小僧ー2]
当時のお楽しみと言えば、
かずこおばちゃんとつるばっちゃんがやってくること。
母親方の一番下の妹とおばぁちゃんだ。
もー、次男坊故に、肉や卵は白身と脂身、
洋服はお古、味見は俺(泪・・・当時は腐ったものをこうして調べた)だったが、
このふたりはおいらにすごく優しいのである。
近所のドングリ山を越えてくるのだが、
「おーほっほっほー」という
かずこおばちゃんの笑い声が聞こえてくると、
おいらは嬉しさで震えたもんだ(笑)。
とにかく明るい!
何するってことないけど、笑っている人っていいなぁ、
と思ったのはこの頃かもな。
ウチの母親はそれに比べおつましだからね。
…今はもう70越えてるが、
相変わらず「おーほっほっほー」と、
明るい。交通事故で死にそうになっても、
次の日には相部屋の人を励ましている。
正直、かずこおばちゃnみたいな女性に
出逢えていたら結婚してたかもなぁ。。。
「団地小僧」幸せな日々 [団地小僧ー2]
兄貴のいない午後。
おかぁとふたりでいると、
「こり、いいものあげようか?」
(ん?お菓子だな)
「うん、ちょうだい!」
「うーん、そうだなぁ、来年の春頃かなぁ。
こりがいい子にしてたらだよ」
(はっ!お馬鹿にしては幸せには敏感なおいら)。
「えーっー^-^-っ!もしかして・・・」
「わかるのぅ?」
「赤ちゃんだ!」
「まぁ、大当たり!」
「えっ、男の子?女の子?」
「さぁ、でもどっちでもいいんじゃない。
こり、弟か妹欲しいって言ってじゃない」
「ひえーっ、嬉しいなぁ、うん、弟がいいけど、どっちでもいい」
お馬鹿なおいらだが、
それだけでニコニコよゐこになってしまう俺は
可愛い奴だ。
それから半年後の5月14日の日曜日朝方、妹は生まれた。
友達が自転車から俺に声をかける。
「こり、赤ちゃんまだ!?」
「生まれたって!妹!これから見にいくんだよ!」
父親、兄貴と三人で病院に行く。
おかぁはげんきそうだった。
「こり向こうで赤ちゃん見れるわよ!」
ドキドキしながら、妹を見に行く。
看護婦さんがガラス越しに妹をこっちに向ける。
「はっ!」
俺は驚いてしまった。赤ちゃんと言えばもうニコニコしているのが普通かと思ったが、
色黒で更に鼻くそをほっぺたにくっつけ、ニヤリとする。
「^^;」
「どうだった?こり」
「うん、可愛いかった」
まぁ、生まれたての妹だ。しょうがなかったのだが、猿だと思った(笑)。
おかぁとふたりでいると、
「こり、いいものあげようか?」
(ん?お菓子だな)
「うん、ちょうだい!」
「うーん、そうだなぁ、来年の春頃かなぁ。
こりがいい子にしてたらだよ」
(はっ!お馬鹿にしては幸せには敏感なおいら)。
「えーっー^-^-っ!もしかして・・・」
「わかるのぅ?」
「赤ちゃんだ!」
「まぁ、大当たり!」
「えっ、男の子?女の子?」
「さぁ、でもどっちでもいいんじゃない。
こり、弟か妹欲しいって言ってじゃない」
「ひえーっ、嬉しいなぁ、うん、弟がいいけど、どっちでもいい」
お馬鹿なおいらだが、
それだけでニコニコよゐこになってしまう俺は
可愛い奴だ。
それから半年後の5月14日の日曜日朝方、妹は生まれた。
友達が自転車から俺に声をかける。
「こり、赤ちゃんまだ!?」
「生まれたって!妹!これから見にいくんだよ!」
父親、兄貴と三人で病院に行く。
おかぁはげんきそうだった。
「こり向こうで赤ちゃん見れるわよ!」
ドキドキしながら、妹を見に行く。
看護婦さんがガラス越しに妹をこっちに向ける。
「はっ!」
俺は驚いてしまった。赤ちゃんと言えばもうニコニコしているのが普通かと思ったが、
色黒で更に鼻くそをほっぺたにくっつけ、ニヤリとする。
「^^;」
「どうだった?こり」
「うん、可愛いかった」
まぁ、生まれたての妹だ。しょうがなかったのだが、猿だと思った(笑)。
「団地小僧」アヒルの行進 [団地小僧ー2]
まぁ、いくらお馬鹿でも、
小学生だもの・・・勉強はしただろう・・・
と記憶を探るが、
ようやく出てきたのがーー;、
1,2,1,2,1,2・・・
アヒルの行進。
そう5段階通信簿の成績。
3すらもなく、
確か、毎回「落ち着きがない」と書かれてた。
まぁ、お馬鹿だから成績のことなんか気にもしなかったが、
お正月に母親方の親戚一同が集まる。
母親の兄弟は13人、戦争行ってたのもみんな戻ってきたので、
従妹の数が半端ない。
そして、始まるのが、通信簿みせっこ。
皆様はご存知のように俺はかなり馬鹿だから、
その中で一番、悪い成績だった。
父親方の従妹の中でも一番、ダメダメ。
・・・でもねぇ、馬鹿な子ほどかわいいって、
おばぁちゃんが、エビフライ隠れておおくくれるんだよね。
・・・そんで帰りのバスで吐いてやんの。お馬鹿すぎだな。
「団地小僧」野犬 [団地小僧ー2]
団地全部が遊び場だった俺たちだったが、
憎き敵のひとつに野犬がいた。
文字通り、野犬。
わんこは家族よ!のわんこでなく、
家で飼われてもなく、常に飢えた野犬である。
まだ、ギリギリ「狂犬病」が残っていた時代。
俺たちガキにとっては奴等との駆け引きは命がけだった。
毎日、学校行く道を変える。
野犬のいなそうな所を通る。
棒を持つ。
タバコの吸い殻を水でまぜて持つ。
餌をあげる。・・・
もちろん、友好的な犬を手なずけるのもOK!だ。
でも、追いかけられて、噛まれて(泪)。
俺は今でも、そう、ちわわでも怖い。虎馬だ。
ちわわちゃん、可愛いねぇ。とか言っても吠えられ噛まれる。
・・・そんな俺の脳裏にかすめるのは、
下級生のいじめられっ子だ。
団地中のガキが全部友達だったあの頃、
いじめられっ子が誰だかは分からなかったが、
そいつがある日、
いわゆる大型犬(秋田犬みたいの)を先頭に
10頭くらいの野犬の群れを引き連れていたのである。
いじめられっ子は「へっ、怖いだろう?」みたいな顔もせず、
神々しく前を向いて、野犬を引き連れていた。
当然、次の日から、いじめっ子ではなくなった。
でも、あいつそれから見かけなくなったなぁ。。。
憎き敵のひとつに野犬がいた。
文字通り、野犬。
わんこは家族よ!のわんこでなく、
家で飼われてもなく、常に飢えた野犬である。
まだ、ギリギリ「狂犬病」が残っていた時代。
俺たちガキにとっては奴等との駆け引きは命がけだった。
毎日、学校行く道を変える。
野犬のいなそうな所を通る。
棒を持つ。
タバコの吸い殻を水でまぜて持つ。
餌をあげる。・・・
もちろん、友好的な犬を手なずけるのもOK!だ。
でも、追いかけられて、噛まれて(泪)。
俺は今でも、そう、ちわわでも怖い。虎馬だ。
ちわわちゃん、可愛いねぇ。とか言っても吠えられ噛まれる。
・・・そんな俺の脳裏にかすめるのは、
下級生のいじめられっ子だ。
団地中のガキが全部友達だったあの頃、
いじめられっ子が誰だかは分からなかったが、
そいつがある日、
いわゆる大型犬(秋田犬みたいの)を先頭に
10頭くらいの野犬の群れを引き連れていたのである。
いじめられっ子は「へっ、怖いだろう?」みたいな顔もせず、
神々しく前を向いて、野犬を引き連れていた。
当然、次の日から、いじめっ子ではなくなった。
でも、あいつそれから見かけなくなったなぁ。。。
「団地小僧」万引き2 [団地小僧ー2]
俺はそんなに悪い奴じゃない、
ただ、いやしいだけだ!
まったく、園児の時、マーブルチョコ万引きして、
びびってたのに。。。
そう、小学校でもやっていました。
当時は、コーラの空き瓶を酒屋さんに持って行くと、
10円に!
だから、毎日、俺たち戦後貧乏ガキはゴミ集積所に立ち寄って、
コーラの空き瓶を探してたわけだ。
だが、欲しい駄菓子があるのに、コーラの空き瓶がないことも多々ある。
・・・あの日はなんか薄曇りの日だったな。
俺は麦畑にダチと身を潜めていた。
狙いは道路向こうの酒屋。。。
息をひそめ人がいなくなるのを待ち、
レッツゴー!
足音をひそめ、酒屋の裏へ。
俺が誘ったダチはふたり(誘ったのは俺)。
そっ、とコーラの空き瓶を万引きすると、
しずしずと麦畑へ。心臓ばくばく。
・・・しばらくして、もういいかな?と言う頃、
その、今、空き瓶を万引きしたお店の表玄関へ。
「おばさん、コーラの空き瓶持ってきたよ!」
「・・・」
なんかおばさん態度が変。
「ねぇ、坊や、それどうしたの?拾ったの?」
「うん、向こうのゴミ箱で」
「・・・そう」
仕方なさそうに、でもどこか寂しそうに、30円を俺に渡すおばさん。
「ふぅ」
なんちって、お金さえ手に入れば、ご機嫌な馬鹿低学年。
駄菓子屋でお菓子買って、満足ちゃんちゃん。
ところが、次の日。
お昼時の校内放送。
「〇年〇組のこりーくん、@@くん、@@くん、
至急、校長室へ来なさい」
校長室・・・なんだ?・・・もう、昨日の万引きなんか忘れている鳥頭。
校長室はなんだか人が多そう。
「こんこん」
「あー入り給え。君がこりーくんか?」
「はい」
なんと、おまわりさんがふたりいる。
「君は、えー昨日、酒屋さんでコーラの空き瓶を
盗んだりしませんでしたか?」
・・・やべぇ、ばれてる。
ダチが肘でお腹を突っつく。
「こりーくん、やったならちゃんと言って」
女先生が優しくさとす。
まぁ、しようがないな。バレバレだぜ。
「はい、お菓子が買いたくてやりました」
校長室に流れる安ど感。。。ふーっ。
いち早く謝ったのがよかったのか、
大人たちの間では、許す方向で話は決まったいたようだ。
(ふーっ、しかし、あのおばさん俺のこと知ってたのかなぁ?)
反省の色なし。
クラスに戻ると俺はヒーローだった。
「すげぇなぁ、おまわりさんに捕まったのかよ?」
「おうよ!今回は許してもらったがな」
「何したの?こりーくん?」
「えっ、コーラの瓶をよ・・・」
とくとくと話す俺。馬鹿は治らない。
親にも言わないでおいてくれたのに。。。はぁ、お宅の息子さんは平気?
「団地小僧」土団子 [団地小僧ー2]
さて、曖昧な記憶を探ると、
「土団子」にぶち当たる。
当時、学校帰りは、
学校~ごみ焼却所~駄菓子屋~公園と
遊びながら帰ったわけだが、
このラストの公園で、山の土や砂場の砂、
とにかくチビとしては最強の土団子を作るために、
色々な土を集め、固め、ピッカピカになるまで、
磨き上げ、唾をつけ、家に持ち帰るのだ。
もはやこれは日々の行いで、宗教的儀式か?と思うくらいである。
そして母親にばれぬよう、そっと冷凍庫に保存する。
・・・たいていここで土団子、割れちゃうのだが、
朝までもった奴は、団地の四階から、
落とされることとなる。
そして、ダッシュで下まで駆けて行き、
割れているのを確認して、
「よしよし」と納得し
学校へ行くのである。
・・・これが毎日。。。
基本的においらの小学生3年までは、これだけである。
「団地小僧」記憶なし [団地小僧ー2]
園児を無事終了すると、
俺もピカピカの一年生だが、
どーも、ここから小3までの記憶がない。
先生も覚えていないし、友達の記憶もない。
ただ、毎日、遊んでた。
さぼろうとしてた。
兄貴にいじめられた。
などは、ぼーっとある。
日々、思い出してみるが何時まで持つか・・・。
まず、そうか!
ウチの気に食わないこすい兄貴!
こいつが団地の屋上・・・
当時は誰でも行けて、柵もなかった。
屋上で「正義の味方、スーパーマンだぁ!」 とか叫んで、飛び降りようとしたのだ(笑)4階建てね。
今でも、得意そうな目で母親の方を見ている顔が記憶にある。
母親は「グェギャー!」とか叫んでいる。
俺はもちろん飛び降りるのを期待してにやつく。
・・・結局、やらなかったのだが、
あの目は本物だったな。
だって、柵の無い屋上の一番端っこ、
後、一歩で天空だったもんな。惜しかった(笑)。
まぁ、兄貴もお馬鹿だったのね。