「団地小僧」ごはんよー! [団地小僧ー1]
「あら、坊や、どうもありがとう。
ちょっと待って・・・これお持ちなさい」
ひよこのお菓子、大好物だ。
・・・それが俺の記憶の最初。
妙に晴れた日、俺たち家族は、
埼玉県は南浦和にある団地に越してきたのである。
おとう(父親)、おかぁ(母親)、兄貴と横一列に並んで、
芝生の上を行進してる感じ。
そこで団地の一階にお住いのおばさんが人形を落としてしまったのを、
俺が拾ってあげたのだ。
笑顔のおばさん。ひよこのお菓子。芝生。新しい団地。幼稚園児。
「ふっ」
それが最初の記憶なのだが、なんかいいじゃねぇか、
明るいぜ、未来は!
俺はひよこのお菓子を食いながら・・・
と、言いたいがその記憶がない。
残念ながら、俺の記憶は、そこからしばらくない。
成長後に親の意見やらアルバムを見て総合すると。
朝、起きて小便まき散らし、寝ている父親の足をくすぐり、
登校するも、お遊戯なんてものの記憶など全然ない。
帰り道。危険有害なゴミ捨て場でお宝探し。
当時は医者もそんなところに使用後の注射器やなんやら捨てていたので、
ガキには最高のお宝箱。
特に当時はコーラの空き瓶が一本10円で交換して貰えたので、必死だ。
そのまま卵アイスなんかほおばりながら、
夜7時まできっかり、土団子制作やら虫取り、かくれんぼ、チェリング・・・
母親の「ごはんよー」という声が聞こえるまではガツンと遊んでいた。
当時のガキはそんな風にお馬鹿に遊んでいた。
・・・そうだよな。そんな記憶いらんわ。
ガキがまだガキらしかった頃のくだらん話、はじまります。
よろしゅう御頼み申し上げます。
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