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「ドン・キホーテ」 [団地小僧ー2]


あー、俺の記憶にある先生と言えば、
幼稚園の美脚先生、
そして小4の斎藤先生だ。

もしかして斎藤先生は唯一の「先生」だったと思う。
サッカーに目覚めたとはいえ、妹ができたとはいえ、
勉強嫌いのおいら。
相変わらず5段階通知表は、1212312・・・
少し3が混ざるようになったくらいである。

だが、小4での図工は・・・。
なんだか自由な工作時間。
俺はゼンマイをマッチ箱に詰め込んでいた。
つまりプラモデルの車みたいのを作ろうとしていた。
そこへ斎藤先生、登場。

「まぁ、面白いわね。
そうだ!ねぇ、ゼンマイで槍が動くようにしたら、どうかしら?
ドン・キホーテみたいでいいじゃない!」

「・・・?槍、ドン・キホーテ?」

お馬鹿な俺は何も分からず、とまどったが、返事だけは大きかった。

「はいっ!」

「ピンポーン!」
授業終了。

「どう?」

斎藤先生が見に来る。ほぼできていないドン・キホーテ!

「あらぁ、難しかった?まぁ、いいわ」

とりあえず授業も終わったし、俺は運動場に飛び出していった。

その工作の発表会、俺は3位入賞だった。

きちんと槍を持ったドン・キホーテが、
腕をくるくる回している。

(あらぁ、先生、作ってくれたのかぁ)。

それでも嬉しい俺。
なんと!それで自信というものを感じてしまったのだ。
ったく、ガキとはいい加減なものだ。


でも、その学期で斎藤先生がお嫁に行くと聞いた時は、
寂しかった。

・・・そして。その学期の図工はなんと、4、だった。


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