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鬼畜⑨ [小説]

しばらくして、
妹が子供を産んだ。
初孫だ。
これには鬼畜も大喜び。
すごく可愛がる。
893と同じ、
自分に従う者には優しいのだ。

俺もその傾向があるのか、
こいつを可愛がった。

一緒に遊び、大声で笑った。
人生で初めて笑った気がした。

鬼畜よりこいつは俺の方が好き。
それも嬉しかった。

ただ、単純に嬉しかった。

でも鬼畜は密かに、
この孫を手に入れることを考えていた。

妹夫婦が家を建てる時、
「このウチを建て直して引っ越してくれば」
と、勧誘していたそうだ。

もちろん、この鬼畜の正体を知っている妹は、
(ちなみに鬼畜というネーミングは妹)。
うなづくどころか、
家ができ、父親が亡くなってからは、
まったくこのウチに遊びに来なくなった。

そう、妹はウチの温和な父親に、
子供を接しさせてあげたかったのだ。

そしてその孫は、やさしい奴に育った。
ただ、鬼畜の貯めている
500円貯金のお年玉は取りに来るが・・・

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