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鬼畜③ [小説]

気づいたのはまず自分の独り言だ。
電車の中などで、ふと呟いている。
(やばいな)と思ったが、
次に女性をガン見するようになっていた。
もはや変態か?
それでも「理性」で頑張った。
どうにか大学の単位も取り、
いよいよ大学四年生の前の春休み。
私は音楽大学に通っている友達と、
池袋のレストランでジャズ演奏をしていた。
夜の7時から11時まで。
時給150円。
友達は音楽一家に生まれ、
ピアノもベースもサックスもピアノも弾け、
この時はギターを弾いていた。専門はフルートだ。
日々、演奏を繰り返すうちにストレスが溜まってきた。
そう、毎日、この友達に追い越されるのだ。
奴はどんどんうまくなっていく。
私のジャズ知識も奪いながら、非情なほどうまくなっていく。
そして、お店に女を呼ぶ。何人も呼ぶ。
そして、私の演奏とどちらがいいか、聞くのだ。
残念ながら、当時は私が誉められ、
友人はふてきされていった。
更に、夜食は冷凍食品が出てたのだが、
コックもつまらないジャズに飽きたのか、
凍ったままのものを出してきた。
限界はきちんと来た。
食べ物が喉を通らなくなった。

わかりやすい心身症だ。
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