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鬼畜⑦ [小説]

そんなこんなで
バブリーしている間に、
鬼畜が忍び寄ってきた。

兄が会社で
後輩に
「ゴミくらい捨てろよ」と言われ、
行かなくなった。

印刷の営業。
毎晩、デザイナーの入稿を待ち、
色の相談にのり、
印刷工に頭下げて・・・

だからデザイナーはみんな尊敬していた。

でも兄は最初から7時には帰ってきてた。
社長がデザインの学校に通わせてくれたのに、
行かなかった。
多分していたのは刷り上がりを、
クライアントに運ぶだけ。
夜は酒を呑んでいるだけ。

まぁ、俺が広告業界だから分かってしまうんだが・・・

家で寝てる所に
社長やら奥さんが来るが
逢おうともしない。

そして、辞めた。

そして鬼畜の母性愛のもと、
家に入れたお金を全額返して貰い、
年金は払って貰うようになっていた。

俺が過労で倒れるまで、
それは続いたようだ。

鬼畜とは、おっかないだけでなく、
息子を腑抜けにもしてしまう。

だから恐ろしいのだ。

今、63才の兄は相変わらず、
86の母親に守られている。
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